クマさん
お誕生日おめでとう。これでしばらくの間、17歳差だね。わたしのクマさん。私の精神安定剤。あなたがいると心が安らぎます。あなたと出会えて、あなたと一緒にいれるおかげで、自分がこう在りたいと思うわたしに近づけました。本当に大事なことを見つめて、安定した生き方ができるようになりました。あなたの好きなところ挙げようとすると、どんどん出てきて、お、あれも、あ、これも、ってなります。
第一に—— あなたの目が好きです。あなたの目が私をじっと見つめると心臓がぐわっときます。どんな感じか分かりますか、ぐわっと来る感じ。ぞくぞくするやつです。体の中で水がどっと一箇所に向かって一気に押し寄せる感じのやつです。あなたの目はとてもきれいで、わたしのと全然違うその目は、縹色で、透き通っていてまつ毛はちーっぽっぽみたいな、ちーっぽっぽのは白色ですが、あなたのは金色で、かわいい。眼鏡をかけている時とかけてない時どっちも好きだけど、眼鏡をかけてて眼鏡の縁からクッと上目で見るあれは、私にある種の胸の締めつけをもたらします。かわいくて、かわいくて。そしてあなたの横顔。笑ってるときの横顔はわたしのお気に入り。
ふざけて耳をひっぱったとき髭をひっぱったときにしてくれるおちゃめな顔も好きです。ウィンクはもちろんのこと、言うまでもなく、素敵。いつも絶妙なタイミングでしてくれますね。お手のものですね。でもわたし以外の人にはしないでね。それはわたしの特権なのですから。
あなたと出会えたことに感謝します。あなたに会ったとき、私は自分の中で欠けているものを埋めようと必死になっていました。自分の性質に合わないことをやみくもにやって時間と空間を埋めていました。あなたと会うとき、常に酔っていたのではないかしら。出かける前にラム酒のショットやったり煙草をひっきりなしに吸ったり、むちゃくちゃしていたので。わたしはその時、他の人のものだったから、どうしたものかと思っていました。あかんのでしょうけど、あなたに対して心地よい好意があり、こんなに話の合う人がいるのかとびっくりしていました。あなたともっと一緒にいたいと思うようになりました。あなたと旅行してみたいと密かに願いました。でも、あかんこと分かっていたので何度か打ち切ろうとして、もうおしまいですみたいなこと言って、終らせようとして、もちろん自分も悲しかったけど、あなたはきっとすごく傷ついたろうと思います。それでもあたなはそこにいてくれました。あなたの気持ちを正直に、真摯に伝えてくれました。どんなに嬉しかったか想像できる?本当に嬉しかったんよ。ちょっと照れながら私を見て、その綺麗な目が見たいからって、そこからあなたは眼鏡をはずして山陽電車のプラットフォームを一緒に歩きましたね。温かい記憶の一片です。
あなたはできることは何でもしてくれて、それが当たり前だと思っています。掃除、食器洗い、洗濯物干し—— いつも一緒にしてくれてありがとう。なんかどこかのクリーニングサービスの掃除係のひとみたいに、黙々とチームでこなしていきますね。うちらのそういうところ好きです。いま料理はあなたの担当みたいになっちゃってるけど、あなたの作ってくれるごはんは、最高においしい。お弁当まで用意してくれて、甘えっきりでごめん。やっと一日が終って夜帰ってきて、あなたの心込めて作ってくれたごはんを二人で一緒に食べられるの、いつもどれだけ感謝しているか、知っていてくださいね。
あなたの純粋な少年みたいなところが好きです。無垢な、ありのままをそのまま受信する、動物的なところ、自然の創り物のようなところが好きです。例えば道を歩いていて、綺麗な花があると指差して立ち止まって鑑賞するようなところ。波長が合います。
あなたの才能が好きです。あなたの、アート性がみなぎっているようなところ、好きやわ。あなたは書きます。ドラムで鍛えられたあなたのリズムでもって、あなたの言葉に対するセンス惚れ惚れします。何でもきちんと言葉に換えて丁寧に説明できるところ、羨ましくて尊敬します。説明上手。説明の仕方というものを心得ていますね。
あなたと話をするのが好きです。あなたの理解力はすごい。私のたまに支離滅裂で変わった見解を、変なこと言う子や、何を言うとるんやお前は、なんて言わず真剣に聞いてくれて、100% 全神経を私に注いでくれて、そしてそれについて自分の意見を怠らず言ってくれますね。あなたはウィットに冴えていて、いつもわたしを笑わせてくれる。あなたも私の言うことに笑ってくれる。ふたりでおもしろいこと言い合って、あなたといると飽きません。酔っ払ってぐだぐだになって、延々と話すのも、話すことが次から次へと発展して、どんなことでも掘り下げてって、二人で納得して、ああこういうことやんね、そうやんね、みたいな感じで楽しいね。酔うといろんなものを創作して、「デビルのパンケーキ」と名づけた茶目っ気あふれたパンケーキは、酔った時まあまあの確率で、ノリで焼き上げるおなじみのアイテムで、それをおいしいおいしいと本当においしそうに食べてくれる優しいあなた。いろんな50年代とか80年代とかのかっこいい曲を紹介してくれてありがとう。そういうなん聴いて、家の中で踊るのもいい時間だね。
あなたとチロの散歩するの好きです。平和そのものと思えるから。道を上がったり下がったり、そこで今日あったこと、自分たちのしたいことを話して計画して、色んなことを話すの、めっちゃ平和です。早朝のあなたとのチロのお散歩。ところどころに在るあなたの「ベランダ」からの景色。ノラ猫がいると「やあ、キティ!」と手をふって声をかけている。霧のかかった山、壮観ですね。夕食後の散歩は、たまに時間が早いと夕日で空が茜色をしていて、たまにオレンジだったり、ピンクだったり。それを見たいからこっちの方角歩こうって提案してくれて、そっちの方を歩きます。もう暗いと、夜の空の満月だったり弦月だったりを、今日もいるいると確認して、わたしたちの赤い星もちゃんと光ってるかを確認して——ところであの赤い星はいったい何星なのでしょうか??
あなたは常に私のことを愛してくれます。愛する、愛される、ということがこんなに温かいもので、こんなに心の平安をもたらしてくれるものなんだって、ゆっくりと悟りました。あなたはわたしのアスレチックなこぢんまりしたおしりが好き。もうけっこう経つのに相変わらず家の中でもわたしに見惚れてくれて。ちょっと離れたところにいてると、わざわざ眼鏡をかけなおしてこっちを見る。わたしはあなたのものなのに、それでもいつも初めて見るような感じでわたしを鑑賞してくれるね。わたしは、そういうのに刺激されていつまでもあなたの華奢な猫さんでいたいと願います。
あなたはわたしのほっぺたが好き。ほっぺたに「チークス」といってキスしてくれる。おばあちゃんになってもいつまでも、あなたのかわいいひとでいたい。いろんなニックネームで私のこと呼んでくれてありがとう。ベイビー、ゴージャス、ダーリン、チークス、レッグス、等々。わたしは、ずっとあなたのものでありたくて、ずっと私を、まるまる取り込んでいてください。
日中ふとあなたが頭の中にやってきます。そこから色々なことを夢想します。起こったことを思い出したりあなたの言ったことをなぞってみたりあなたの顔や声をたぐりよせたり、遊ぼうといってあなたとベッドで遊ぶのを思ったりします。あなたがわたしを悠々と弄んでいるときの、あなたの指が私のそこかしらをなでて、時間をかけてひとつひとつを愛おしんでくれるのを思います。この時間、わたしはものすごくリラックスできるのです。
私がこんなに嫉妬深くなるのは、唯一あなただけだよ。私は基本クールで、物事にそこまで執着しない女ですから。でもあなただけは独り占めしたいのです。わたしのもので、誰ともこの特権を分け合いたくないよ。あなたのウィンクはわたしだけのものであって、あなたの優しさはわたし一人のものにしておきたい。それぐらい不思議な所有欲をあなたは掻き立てます。
今からわたしたちがどんな風に進化していくか楽しみです。メーポロッポだってどんどん成長していって、ふたりでいろんなアイデア出し合って、いろんなものを創り上げていくでしょう。楽しみだね。いつか京丹後の夕日ヶ浦で見た、あのかわいらしい老カップルみたいに、二人がおじいちゃんおばあちゃんになってもずっと仲良く手をつないで、ちょっとそこまでお出掛けするような、わたしたちでいたいです。
れいこより